以前もアクティブバトンタッチインタビューにご登場いただいたことがある、ソーシャルアライアンス株式会社 代表取締役社長 岡根 芳樹 氏。
トップセールストレーナーの顔の他に、元劇団座長で現役の絵本作家でもあるという、異色のビジネスパーソンだ。今回は、震災復興に対する岡根流の熱い想いを語ってもらった。

想像を絶する苦境を乗り越え、「営業」だけで生き返ったトップセールストレーナー

同社代表として、日々多くのセミナーで『売れる営業マン』のノウハウを伝授している岡根氏。今回の東日本大震災の惨状を知った瞬間、いてもたってもいられなかったという。

「テレビを通して目にする東北地方の映像のあまりの悲惨さに言葉がありませんでした。自分は非力ですが、『でもとにかく何かしたい!』と思って四分一さんを訪ねました!」

地震発生から1ヶ月が経過したが、余震が止まらないなど落ち着かない状況が続いている。世間では娯楽や経済活動を控えると言った「自粛ムード」が蔓延し、普段どおりの生活でさえ「不謹慎だ」といわれるような風潮もある。そんな中、エネルギーに溢れるスーパー営業マンの岡根氏は、「いま、自分の能力を使ってできることは何か」を考え、原点に立ち返った。

ソーシャル・アライアンス株式会社 代表取締役社長 岡根 芳樹さん物がなくても「営業」はできる

「まず私が声を大にして言いたいのは、被災地以外の地域では、普段どおり、いや普段以上に経済活動を続けるべきということです。今、日本は自粛ムードと先行きの不透明感から、経済が停滞しています。営業活動を行っても、アポイントすら断られる営業マンも多いでしょう。しかし、そこでひるんではいけません。ひるまずに自社の良い製品・良いサービスを紹介し、経済を活発にすることが、日本の復興を早めることになるのです。」

「そこで」岡根氏は身を乗り出した。

「そこで考えたのが今回の営業セミナーです。私は『売れる営業』のノウハウだけは持っています。そのノウハウやスキルを全て無料でお伝えします。そのかわり、もし満足いただけたら、満足いただいた金額だけお支払い頂きたい。100円でも1万円でも構いません。支払っていただいたお金は全額義援金として寄付します。私たちの営業ノウハウを教えることで、一人でも多くの方が元気を取り戻すことができれば、それが我々にできる最大の復興支援ではないかと思ったのです。」

岡根氏は話し続ける。

「被災地をはじめ日本各地で、電力などの不足によって仕事ができない人は大勢いらっしゃると思います。しかし、物や道具がなくても『営業』はできるのです。船がひっくり返れば漁業はできないし、畑が浸水すれば農業もできない。電気がなければ工場はお手上げです。一方で、営業マンは体さえ動けば、声さえ出せればすぐに仕事ができる。営業はどんな地域でもやれる。だからこそ、営業マンに今立ち上がって欲しいと思います。」

岡根氏の眼差しからは、鬼気迫るものすら感じられた。

しかし、営業といっても、ただ売ればいいというわけでないと岡根氏は言う。

「相手が自社の扱っている物やサービスの必要性に気づいてなかったとしても、相手のためになる有益な情報やサービスを提案することが重要です。『そこまで言うのなら買ってあげる』ではだめ。本気で『欲しい』という気持ちにさせなければ営業ではありません。」

その根底にあるのは、相手の夢や想像力をかきたてること。価値観を変えて本気にさせること、それが営業用語で言う『クロージング』だという。

「そのためには、相手に勇気や元気を与えなければなりません。私はそれが営業の本当の使命だと思っています。」

岡根氏の営業魂に火がついた。

次々に繰り出される熱い言葉に、こちらも思わず営業したい気分になってしまう。

「まず第一弾として、しょげ返っている東京の営業マンたちを集め、元気や勇気の伝道師になって貰うための、チャリティーセミナーを開催します。是非、彼らも復興に貢献してほしい!」

エネルギッシュにしゃべり続ける岡根氏だが、実は過去にとてつもない経験をしたことがあるという。

「被災地の人に比べれば、僕の苦労なんて大したことないんですけどね。」と、岡根氏は自分の半生について語り始めた。

念願の劇団から借金地獄へ

岡根氏が現在に至るまでには想像を絶するドラマがあった。
高校時代を愛知県の名門進学校で過ごした岡根氏は、校内でただ一人、有名大学を志望しない異端の生徒だった。生徒ごとに東大をはじめとする志望校が貼り出される中、岡根氏の志望はなんと「劇団四季」。当時から独立志向が強かったため、16歳で一人暮らしを始め、映画館でアルバイトをしながら最初の劇団を結成した。名古屋での公演を実現させ、東京を目指す。ところが東京は名古屋とはスケールが違った。なかなか思うように進まず焦る中、大きな不運が岡根氏を襲う。何と劇団員の中に指名手配中の詐欺師がおり、公演費用の300万円を持ち逃げされてしまったのだ。既に予約している会場への支払いが迫っているなど切羽詰った状況で、代表だった19才の岡根氏は300万円の借金を背負うはめに。返済のためにサラ金で借りた借金は、すぐに500万円までに膨れ上がってしまった。

雪だるま式に増えて行く利息に苦しむ中で、奇しくも岡根氏の営業としてのスタートが切られた。

売れない営業マンとして二ヵ月が経過。胃潰瘍での吐血で得たものとは

なんとか借金を返さなければと思った岡根氏が選んだのは、フルコミッション制の営業だった。
フルセットで約100万円の教材を訪問販売、売上の20%ほどが給料となる。三ヶ月で借金を返す!と意気込んで入社した岡根氏だったが現場は厳しかった。研修はない。売れないと上司から罵声を浴びせられる。逃げない精神力とやらなければいけない理由がある者だけが残る職場だった。
一件も契約がとれないまま二ヵ月が経過したある日、ストレス性の急性胃潰瘍で吐血、救急車で運ばれ一ヶ月の入院となる。

ところがこの入院が、岡根氏にとって大きな転機となった。
退院後、魔法のように売れるセールスパーソンに生まれ変わったのだ。

「入院中はいろいろ考える時間がありました。最初は商品を信じられず、売る事に罪悪感があった。でも視点を変えて、親に買ってもらうんじゃなく、実際に教材を使う子供をやる気にさせたらどうだろうと。そう考えたら使命感が沸いてきたんですね。」

月1000万円という前例のない売上記録を樹立しながら、クーリングオフもゼロだった。営業成績と顧客満足を両立していた証である。
ほどなくして無事借金を完済した岡根氏は、この会社で知り合った桑原氏とともに、2002年にソーシャル・アライアンス株式会社を立ち上げる。

ソーシャル・アライアンス株式会社 代表取締役社長 岡根 芳樹さん営業で世の中をもう一度熱くしたい

「営業嫌いな人は世の中に沢山いますよね。『勧誘する仕事は嫌だけど、食べていくためだからしょうがない』と思っている人がいたら、営業の喜びを教えたい!」と更に熱く語る岡根氏。

「僕は営業の神様に恩返しがしたくて、この会社を立ち上げました。営業のおかげで借金が返せたし、救われた。営業によってどれだけ人生を豊かにしてもらえたか。どれだけ多くの人と知り合えて、多くのチャンスをいただけたか。」本当に感謝してもしきれないという岡根氏。
営業のおかげで、どんな環境からもくじけない強いメンタルと、どんな人でも仲良くなれるスキル、相手の価値観まで変えてしまうクロージング力を学んだという。

岡根氏がいまセミナーで最も注目しているのは「人間力」。大企業には、学歴はあっても人間力がないため、リーダーシップを発揮できなかったり、すぐ辞めていく社員が多いという。

「無気力でやらされ感が強かった生徒さんでも、セミナーが進むにつれ本気になっていく、燃える体質に変わって行くのを感じられるのは大きなやりがいですね」目の前にいる誰とでも本気のコミュニケーションをとることが大切、という。

今回の地震は被災地東北をはじめ、日本全国に大きなダメージを与えた。日本人が誰も経験したことのない大災害に加えて国内政治の混迷などにより、日本の先行きは以前にも増して不透明だ。
しかし、我々はまた立ち上がらなければならない。
未来の日本の背負って立ちたい、そう考える方は、岡根氏の営業セミナーに参加されてみてはいかがだろうか。苦境を乗り越えた人物の生の声は大いなる助けになるに違いない。

 

営業支援チャリティーセミナー「がんばれニッポン!立ち上がれセールスマン!」開催日:2011年 5月16日

取材・文: 中村洋子事務所  * 一部ぱうだー氏の原稿を引用

メールマガジン配信日: 2011年4月28日