「中堅・中小・ベンチャー企業の想いに応える、日本一のマーケティングソリューションカンパニー」をテーマに、成長を続け今年で15期目を迎える株式会社フリーセル。2012年3月期には「中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングNo.1企業」を達成した注目の会社だ。企業のWeb戦略を継続的に支援する、フリーセルの代表木村氏にお話をうかがった。

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プロレーサーを夢見て腕を磨いた高校時代

「どこにでもいるごく普通の少年でしたよ」と恥ずかしそうに語る木村氏は1977年に生まれ、神奈川県保土ヶ谷市で育った。親戚には材木商や大工、 魚屋など自営業が多く、木村氏の父もサッカーのプロスポーツチームのメンタルトレーニングや大手企業の幹部研修など、教育を専門とする中小企業を経営して いた。自ら事業を切り盛りする大人たちをみて育った木村氏は「自分は大人になってもサラリーマンにはならないな」と感じていたという。

中学生のときにF1ブームがあり、木村氏はプロレーサーを夢見るようになった。高校では部活動をせず、バイトで稼いだお金でカートレースを始め、大 人に混ざって腕を磨いていた。「できればレースの世界で生きていきたい夢はありましたが、残念ながら無理でした。というのも年間数百万円もかかるレース費 用をバイトで稼ぐには限界があり、さらに自分の実力ではスポンサーがつくのも難しい。レースは才能とお金がないと無理な世界だと痛感しました」

大学を中退。ビジネスの醍醐味を感じる世界に身を投じた

現実に直面してレース場から距離を置いた木村氏は、大学受験を決意。わずか半年間の勉強の後、国学院大学に合格した。この体験を通じて、目標を設定 して集中することで結果を出すことのおもしろさを感じたという。意気揚々と大学生活をスタートさせたものの、試験ではなぜか思うように単位がとれない。学 校生活に目的を見出せず、バイトに明け暮れた。だんだんと働くことで自立と自由を追求したい気持ちが募り、大学2年で中退。新しい人生の転機を迎えた。

大学を辞めてすぐ、手に取った求人雑誌の見開きページにあった「若さと小銭しかないそこの君に」というコピーに惹かれてOA機器販売の企業に就職を 決めた。木村氏曰く「スーパーハードな営業会社」で、商材を売る仕事が始まった。元々コミュニケーション力があり、大学中退でもうハンパなことはできない と覚悟をしていた木村氏は着実に成果を出していった。90年代後半のその頃はインターネットが爆発的に普及し始めた時代。営業の実績を買われ、入社わずか 二ヶ月目でレンタルサーバー事業の立ち上げメンバーを任されるほどだった。

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23歳で40人の部下を持つマネジャーに抜擢される

レンタルサーバー事業を年商10億にまで成長させた木村氏は、入社2年目の23歳のときに40人のメンバーを持つ部長となり、年収は1000万円に なった。数字だけみれば誰もがうらやむ立場だが、木村氏は3年ほどで燃え尽きてしまったという。「いまならブラック企業でしょうけど(笑)、仕事は見て盗 めという社風。営業だけでなくマネジメントも教育は殆どなかった。部下には一筋縄ではいかない年上の社員もいて、やりづらかったですね。自分なりに努力し たんですが、一旦仕切り直そうと決意しました」

24歳で退職した木村氏は、個人事業としてインターネット関連の営業代行を3年ほど行った。企業から商材を降ろしてもらい、フルコミッションで売上 をつくっていく。元来の営業力で事業は順調に動いていたが、あるとき前職の会社が上場して後輩が莫大な資産を築いた噂を耳にした。「それなりに稼げていて も、上場のニュースはショックでしたね。上場の意味をよくわかってなかったんですが、実はそんなにすごかったのかと。これがきっかけで個人でできる仕事の 限界を超えて、組織として大きな結果を目指したいという気持ちに火が点きました」

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仕事の原動力は「自分の力をつけて関わる人の成長に貢献すること」

辞めた会社が上場で時価総額が数千億円にもなったニュースをきっかけに「大きな事業をやりたい」「上場を目指したい」と切望するようになった木村氏 は、前職で一緒だった仲間が創業した現在のフリーセルに誘われた。当時は第二次ベンチャーブーム、企業が成長を競う活気にあふれていた。ずっと営業として 実績を積み上げてきた木村氏は、5期目を迎えたフリーセルで営業組織の強化に尽力。3年で売上7倍という急成長を実現した。

リーマンショックや震災を乗り越え、今年で15期目を迎えたフリーセルは「中堅・中小・ベンチャー企業の想いに応える、日本一のマーケティングソリューションカンパニー」という新たなビジョンを掲げ、大きく変わろうとしている。代表取締役となった木村氏は、自身についてこう語る。「私の仕事の原動力は、自分が力をつけること。力がつくことで人の役に立てて、よいものや本物が作れて、それが達成感という喜びにつながるんです」

現在フリーセルでは「1年目で自立、2年目で主力、3年目で主役。20代で最も成長できるベンチャーであるために」というスローガンのもと、若手の 育成に力を入れている。「納得しないとやらない」と自己分析し、自ら波乱万丈の人生を選び実績を積んで木村氏だからこそ、若手の成長が生み出す力に大きな 希望を見出しているのだろう。

取材:四分一 武 / 文:ぱうだー

メールマガジン配信日: 2015年5月20日